2010年03月20日

ロマンティックバッハ

 ピアノの鍵盤をたたいてみて不思議に思ったことありませんか?

ドとソを同時に弾いたとき(完全5度重音)の透明感の心地よさ!

ところがドとミの場合(長3度重音)のなんともいえない不安定感!

これは長3度の場合に生ずるビート(うなり)のためです。
このビートは1秒間に約6~7回聞こえます。これは人が不快に
感ずる限界ギリギリのものです。2つの音(重音)でどうしてこれだけ
の響きの違いがあるのでしょう?これはオクターブ間を12に等分して
音程をわけた平均律の宿命です。この不透明感な3度をふくむ長短
3和音は24調全てに共通します。

バッハは長3度と完全5度の響きの感じ(うなりの回数)は同じである
べきと考えたと、ケルトナーは予想しました。
これはバッハの宗教的観念による数の神秘性から生まれるもので、彼
の音楽の基本(通奏低音)をなすものです。

つまり、ドもミもソもみな同格で同じ関係でる。すなわち三位一体の音関係
をなすとし、彼独自の音律を確立したはずだとケルナーは言います。
これが「バッハの気持ちよい調律法」の基礎になります。

三位一体とはキリスト教では、父と子と聖霊は同じもので同一であるという
教義です。最近は政治の世界でも三位一体改革とかわけのわからない事
を言った小Oさんがいましたが、本当に意味をわかっていなかったのですね。

わたくしも自分のピアノで試してみました。ドソの5度を純正完全5度と、ドミを
純正長3度にしておきます。そしてややソの5度を狭めに修正にしながら、ミを
少しずつ高めていきます。そうするとあるところで、ドミとドソの響き(うなり)が
ひとしくなる点があらわれます。
これが気持ちよく狭められた5度と広められた3度です。
この気持ちよく調律された5度は5箇所で残りの7箇所は純正完全5度をなし
ます。

ビートを聞き分ける練習をすれば、だれでも19ステップの工程をへて調律
することができます。
バッハの時代はクラビーア(チェンバロ)かオルガンが鍵盤楽器の主流でした
ので、自分自身で調律して演奏したり作曲したのでしょう。
わたくしはピアノで全音域調律してみました。平均律クラビーアの1番プレリュ
ードの冒頭部分を弾いてみましたが、とにかく美しいの一言です。
心地よいビート数はノンビートに勝るかもと思いました。

バロック音楽の奏法はノンビート奏法といわれますが、この調律で発生する
ビート感はどう解釈すればいいのでしょう?バイオリンのノンビブラート奏法
ってこの時代の本当の奏法なのかなあ?と思ってしまいます。
バッハの音楽は重々しくも哲学的でもなくとてもロマンティックですよ。

この響き(魅惑の3度)をだれでも手軽に楽しもうとエンジェルスハープを開発
しました。詳しくはエンジェルスハープのブログで紹介していますのでご覧下さい。

では今日はここで区切りとします。
このブログ、どこまで展開してゆくかわかりませんが、もうすこし続けたいと思います。

ではまた!  

Posted by ベルクマイスター at 02:42Comments(0)

2010年03月13日

バッハの音律

  バッハの生きていた時代の音楽の中心はイタリアでした。イタリアオペラ
はその中で最高の音楽芸術であり、器楽音楽はその下の地位でありました。
そしてオペラはミーントーン音律で歌われていました。もちろん器楽もしかりです。

ドイツは当時、音楽界では後進国でした。バッハもビバルディーの楽譜を取り寄せ
よく研究していました。そして自分の作品に様式をとりいれてもいました。しかし
音律だけは、ミーントーンを採用はしませんでした。
音楽においてもイタリアに追いつき追い越せの国策とゲルマン人のプライドなので
しょうか?

この時代に多くの音律がドイツ人によって考案されます。バッハの先輩のベルク
マイスター、友人のジルバーマン、後のキルンベルガー等。

しかしバッハはこのいずれの音律も採用せず自分自身でクラビーアを調律していた
と言われています。

   ではバッハが調律したのはどんな音律だったのでしょうか?

現在、この研究での第一人者がヘルベルト アントン ケルナーです。

かれはバッハが敬謙なカソリック教徒であったこと、また優秀な数学者で、数字
にたいして、神聖なもので神が与えしものと考えていたこと。
こういったバッハの人格をバックボーンとして、おそらくこういう音律であろうという
ものを発表しました。

その音律とはいったいどういうものでしょう。
わたくしは、その音律を再現し実践することで、バッハの人となりと音楽を再考
したいと思っています。
今日のブログは少々マニアック過ぎる感があり恐縮ですが、もう少し書きます。

 ド ミ ソ の振動数の比は4:5:6であり、三位一体をなすべきであるとバッハ
は考えたと、この想定からケルナーの音律研究がスタートします。
数学と宗教と音楽がまさに融合し合う美意識が感じられ、とても神秘的でロマン
ティックではないでしょうか。

この音律はビート(うなり)が聞き分けられる人であれば容易に調律(どんな楽器
でも)することができます。この作業は19回の工程-19ステップ-で完結します。
平均律クラビーアのロ長調のプレリュードが19小節で書かれていますが、
これは偶然ではなく、バッハの重大な提示なのです。この調律のキーポイントが
ロ長調の主和音H-fis・の狭められた5度にありますが、どの程度狭くするかを
きめる法則が、宗教的根拠から決定されています。

 それはどんな法則なのでしょうか?

長くなりました、今回はここで一区切りとします。

どうでしょうか?不思議な音の世界にいざなわれそうになりませんか!
ロマンティックバッハの第2章は次回へとつづきます。


 


  

Posted by ベルクマイスター at 23:29Comments(1)